ネコの好物

わたしのネコの好物はかつおぶしだった。「ネコにかつおぶし」そのまんま。

ただしどんなかつおぶしでもいいというわけではなかった。「かつおぶし屋のかつおぶし」だ。

このブログで何回か書いているが、わたしは、肉は肉屋、魚は魚屋、野菜は八百屋で買っている。かつおぶし屋も近くにあるので、そこで買う。基本は量り売りだが、あらかじめ70gくらいの袋に入っているものがあるので、それを買う。スーパーなどで売っているかつおぶしと同じくらいの量だ。

わたしは、70gのかつおぶしを3つの袋に分けて冷凍保存する。1袋23~4g。ダイニングテーブルの上で、デジタルスケール(はかり)を置いて作業するのだが、ネコはそこに乗ってくる。買ったばかりのかつおぶしはたいそうおいしいのだろう。あふあふあふあふ食べる。もともとガツガツしないネコで、ネコ缶も好きではない。

ずいぶん昔、わたし自身がかつおぶしに凝り、かたまりのかつおぶしを買ってきて、それをいちいちかつおぶし削り器で削ってだしをとっていたことがある。

「ネコにかつおぶし」とばかりにかたまりのかつおぶしをホレホレと出してみたが、舐めもしなかった。わたしが削ったものも食べはしたが、かつおぶし屋のかつおぶしほどがっつかなかった。
宙を舞うように薄く、ふわふわに削ったかつおぶしの味は格別なのだろう。それは人間も同じで、かたまりのかつおぶしは1個(1節?)買っただけで終わった。

ネコがいなくなった今もわたしはダイニングテーブルの上でかつおぶしを小分けにするが、いなくなって1年近く経った今も、ネコがテーブルに上がってくることを想定し、こぼれた分をネコが食べやすいようにまとめる手の動きを無意識にしている。

そんなことは何度もあって、そのたびに「ああ、もういないんだ」と寂しさが骨の髄までしみているはずなのに、かつおぶしを分けるたびに未だにネコがいるような気がしてならない。

かたまりは香りがしないのか、無関心。