豆かん研究

「孤独のグルメ」ファンにはおなじみの「豆かん」。

豆かんは、関西にはほぼ存在しない食べ物だ。わたしも孤独のグルメではじめて知った。孤独のグルメで紹介された浅草の「梅むら」の豆かんでなくても、豆かんを買うには、東京に行かねばならなかった。

東京出張の帰り、八重洲の大丸に入っている和菓子屋で豆かんを買った。黒みつと白みつの2種類があったので両方買った。どっちもおいしくてまた食べたいと思った。

関西方面でも豆かんがないか探したところ、ネットの威力おそるべし。すぐに見つかったので、訪れて食べてみたのだが、東京の味にはかなわなかった。まずいのではないのだが、微妙な違いがあるのだ。
そうすると今度は孤独のグルメで紹介された「浅草の梅むらの豆かん」が食べたくてたまらなくなった。

ほどなくして東京出張のチャンスがまたおとずれた。
わたしを東京に呼んでくれたクライアントには申し訳なかったが、東京出張の目的は「浅草の梅むらの豆かん」になった。
幸いなことに、打合せは朝いちばんの10時から。先方は「朝早くて申し訳ない」と恐縮してくれたが、わたしにとってはラッキーだった。梅むらは午後1時くらいの開店なので、打合せが終わったあとに行けるからだ。

店の中でも食べ、テイクアウトもした。
おいしかった。来てよかったと心の底から思えた。

梅むらにたどりつくまでに大丸のテナントの和菓子屋の豆かん、関西の豆かんを食べたが、梅むらの豆かんは「豆」が格段においしかった。ふっくらしていて、しっかりと存在感があって。もちろん、他の豆かんも、みつ豆の缶詰に入っているまっずい豆に比べたらおいしいのだけど……。

その後も東京出張の際は万障繰り合わせて浅草に行き、豆かんを買った。同じく浅草名物の亀十のどら焼きも並んで買い、コインロッカーに隠して(隠す必要はないのだが、そんな気分になった)打合せに臨んだ。

豆かん以前はところてんにハマり、ところてん、寒天、テングサの知識は増えていたのだが、孤独のグルメに影響されすぎていて、自分でつくるという考えはなかった。井之頭五郎は外で食べるだけだからだ。

ちょっと高いものが並んでいるスーパーを眺めていたところ、糸寒天があった。それ自体はめずらしいものではないが、糸寒天のパッケージに「赤えんどう豆」が10粒ほどセットになっていた。なんで10粒なのかと思うが、これで「みつ豆」を作れるヨというおまけだった。

「赤えんどう豆があったら『豆かん』ができるやん!」と、突然思った。

そのスーパーには赤えんどう豆は売っていなかったので、豆は別に調達することにして糸寒天とビン入りの黒みつを買った。

赤えんどう豆の入手は困難を極めるかと思ったが、近くにあった。またまた商店街の話になるが、わたし御用達の商店街には、豆の専門店もある。店頭で赤えんどう豆が並んでいるのは見たことがなかったが、店のおばさんに訊ねると、店の奥から赤えんどう豆を出してきた。

イヤな予感がした。「この豆、古いんでないのか?」と。豆も米と同じように1年に1回秋に収穫するので、新豆は秋に出る。赤えんどう豆は店頭に並んでいない。関西には存在しない豆かん。どこに需要があるのか……。悪い条件が揃う。赤えんどう豆の回転はとてつもなく悪そうだ。
豆専門店の赤えんどう豆は、こんなパッケージで売られている。

豆の鮮度に疑心暗鬼になりながらも、赤えんどう豆をゆでた。糸寒天のパッケージの説明には、重曹を入れるとあったので入れてみた。
重曹を入れた水は一度ゆでこぼし、水を替えて小一時間ほどゆでる。

結果→おいしくなかった。重曹のせいなのか豆がやわらかくなりすぎた。さらに豆そのもののおいしさもなかった。味が抜けたような感じ。

リベンジ→重曹を入れず、ゆで時間も少し短くしたが、たいして変わらない。

敗因は「赤えんどう豆」の質が悪かったからだと思っている。

イヤな予感は当たり、商店街の豆屋はダメだったので、百貨店の自然食品コーナーで、別の赤えんどう豆を買ってきた。商店街の豆とは異なり、「平成29年産」と表示しているので、次はこの豆を試してみようと思う。豆の質なのか、ゆで方の問題なのか……。


百貨店の豆は、収穫年、賞味期限が書かれている。わたしは賞味期限の信者ではないので、別に書かれていなくてもいいのだが、商店街の豆屋は奥から出してきたのが印象を悪くし、「古いかも」という先入観を持ってしまった。この豆がおいしければ、商店街の豆屋の豆が古かったといえるのだろうか。赤えんどう豆の知識が薄いために判断がむずかしいと思われる。


ゆでる前の赤えんどう豆。梅干しみたいにシワシワしている。

豆かん研究は続く。