ワシ、割安、王将

ワシ→親友の夫の一人称。
割安→親友の夫が消費する(お金を使う)際の基準。
王将→親友の夫が最も好む飲食店。
これである程度の人物像が浮かびはしないだろうか?
もう少し補足するので、頭の中に「ワシ」の人物像を描いてみてほしい。
仕事は建築業で、工務店を1人で経営。
体はデカい。180cm、100キロくらい? 昔はラグビーをやっていたそうな(ポジションは昔きいたけど、わたしはスポーツ音痴なので忘れた)。
せっかちでかんしゃく持ち。しかしながら、くどいくらいの愛妻家。
ビジュアルを説明すると(古すぎるが)寺内貫太郎の身長を高く色黒にし、そこにスポーツマンの雰囲気をプラスした感じというのが近いだろうか。
なんだかめちゃくちゃ書いているが、わたしの親友の夫である。妻を心から愛する心優しき人物である。見た目はちょっと迫力あるけれど。

「ワシ」は説明するまでもなく一人称だが、親友もわたしも「ワシ」と呼んでいる。別れ際に「ワシによろしくね、バイバ~イ」という感じで使う。
ワシの年齢はわたしたちよりひとまわり以上上だが、その世代で「ワシ」という人は「ワシ」文化が残る関西でもめずらしい。「ワシ」なんて戦前生まれの人しか使わない。戦前生まれだって少数派だ。めずらしいので「ワシ」と呼んでいる。

「割安」の本来の意味は、100円の価値のモノと200円の価値のモノを比べ、安い100円のモノを買うのではなく、もともと200円だったものをセールなどのタイミングで100円で買うことに意義を見いだす価値観ではないだろうか? 違うかいな?
ワシは、「割安」が口癖になっているようで、単に「安い」ことの意味にも使っているフシも見受けられる。というか、ワシの価値基準に合わないものは「割高」であり、価格と機能(食べ物なら味)がワシの価値基準に合えば「割安」。ワシの「割安」は究極のホメ言葉である。

「割安」とは意味が異なるが、若い世代は「モトをとる」とか「実質0円」というキーワードに揺さぶられるようだ。仕事をしてお金を稼ぐ仕組みがわかれば、モトが取れる食べ放題も実質0円の携帯電話もあるわけないことがわかるのだが、「若さはバカさ」であるのと、若いうちは「稼ぐ」という実感がなかなか得られないのでわからないのだと思う。まあ、若者はそんなものだ。それでいい。

最近は「サブスクリプション」と名前を新たにした定額サービスがさまざまな業種に広がっているそうだ。これは、はたして「割安」なものかと悩む。
すでに定額が常識になっているのは、インターネットの接続料金、携帯電話の通話料金といった通信料金だが、黎明期は違った。インターネット接続は「テレホーダイ」というのがあって、23時から朝の5時だか7時くらいまでだけが使い放題だった。当時は、契約しているプロバイダーに電話回線でつないだのだが、23時に一斉につなぐので話し中になってなかなかつながらなかった(もちろん複数回線あるのだが、それでもあふれる)。ベーンベンベンベンという、FAXとは異なる接続音がして、やっとこさつながるとビヨヨヨヨ~ンみたいな音がして気が抜けた(ような記憶がある)。
Yahoo!みたいなのもあったとは思うが今ほど充実していなかったし、深夜のつなぎ放題を待って何をしていたのか思い出せないが、せいぜいメールを送る程度だったと思う。今のように歩きながらメールを送受信できる時代ではなかった。

わたしは当時から早く常時接続にならないかとジリジリしていた。「アメリカなどでは常時接続が当たり前になりつつあるが、日本では常時接続サービスを提供するつもりはないとNTTの社長が言った」というような記事を読んで(事実と異なるかもしれないし細かい点にはまちがいがあるかもしれないのでお許しいただきたい)心底がっかりしたことを覚えている。がしかし、すぐに常時接続の時代がやってきた。

携帯電話は、今もそうだが「お得なサービスプラン」が入れ替わり登場した。新しいプランが出ては3年くらいで終了し、携帯電話の買い換えと同時に新たなプランへの変更をすすめられた。携帯電話会社が損をしないように新たなプランを出しているのだと思っていて、プラン変更をすすめられてもしつこく変更しなかった。
「料金プランが適正か診断します」みたいなサービスがあって、なんとなく調べてもらったら、みごとに定額の部分をムダなく使い切っていたようで、店のスタッフに感心というより半ばあきれられたこともある。わたしは通信に関してはかなりケチなのだ。ムダな使い方はしない。

余分な話が長くなったが、「サブスクリプション」という名の定額サービスは、通信をベースにした音楽配信やアプリケーションソフトウェアみたいなものだけでなく、車はもちろんブランド時計・バッグのレンタル、カフェなどの飲食店のサービスに至るまで広がっており、若い人を中心に利用されているそうだ。
月額1500円程度で1杯だけウィスキーなどが無料で飲めるバーの定額サービスがあると新聞で読んだ。1ヵ月に1回行けば「モトがとれる」料金設定だが、コーヒーのように1杯飲んでハイ、サヨウナラというわけにもいかないだろう。2杯目は有料のうえに別途チャージやサービス料がかかったりするため、その新聞記事でも「あまり割安感は感じられない」と締めくくられていた。

今、わたしが利用している定額サービスは、携帯電話の通話(通信は当然)、Amazon Kindle Unlimited、パソコンのソフトウェア(セキュリティとグラフィック)くらいだろうか。携帯電話はかけ放題サービスがスタートする前から予約して申し込んだ。これは助かっている。Amazon Kindle Unlimitedはヒマつぶしには最適だが、やはり電子書籍は使い勝手のいいものではない。重要な資料は紙の方が見やすい。なので、いつまで続けるか悩みながら更新している。

定額サービスを「割安」と実感できるまでに使うには、「使わなくちゃ、使わなくちゃ」とかなり追い詰められてしまいそうだとわたし自身は感じている。

わたしは食べ物の定額サービス、いわゆる「バイキング」は嫌いだ。ホテルの朝食ですらバイキングはイヤ。昔、クライアントと同じホテルに泊まり、朝食を一緒に食べなくてはならないことがあった。バイキングかそうでないかを選べたので、当初「バイキングでないほうの店」と約束していたのだが、クライアントが「あ、アカンわ。あの店バイキングでないねんて。変えよう」となってしまった。わたしは心の中で思い切りチッチッチと舌打ちした。バイキングでないから選んだのではなかったのかとがっかりした。「お前もバイキングか……」と悲しかったというのは大げさだけど。
わたしがバイキングが嫌いな理由は、味がまずいというのもあるが、お盆や皿を持って自分で取りに行くのがとっても面倒くさいからだ。とくに朝食は揃った状態で目の前に出してほしい。
そういう意味ではわたしはまずくても機内食が好きだ。何もせずに目の前に食事が運ばれるのはありがたい。わがままが言える状況なら「あれが食べたい、これはキライ」などと文句も言うが、空の上では「文句があるなら食うな」となるだけだし、限られた条件の中で文句を言わずに食べるのがいい。何も考えずに与えられるものを享受するだけというのは気が休まる。飼われているみたいだけど。

さて、最後になった「王将」だが、これはワシが大好きな店。それ以上でもそれ以下でもない。ワシにとっては早い、安い、うまいの三拍子そろった最高レベルの「割安」な店なのだろう。
わたしは王将には行かないけれど、好む気持ちはよくわかる。わたしは大阪の「インデアンカレー」が早い、店がこぎれい、うまいという理由で気に入っている。