手づくりカステラ

豆かんづくりは不毛な挑戦とわかったのでやめにした。もうやらない。と思いつつ、赤えんどう豆のおいしいゆで方などという情報を得たり、新豆を見つけたらチャレンジしてしまいそうな気もするが、いったんリセット。

豆かんづくりにハマったのは孤独のグルメの影響だが、お菓子は細かい作業が不要で大雑把にできるようなものをたまにつくる。
わたしはショートニングを使ったお菓子が好きだ。バターのように香りがなくて無味無臭なので他の素材(ココアやドライフルーツなど)の風味がダイレクトに感じられるのと、なによりサクサクした食感が好ましい。ショートニングはもともとラードの代用品としてできたそうなので、豚肉好きでもあるわたしは「ほほう」とひとり感心したものだ。
沖縄の「ちんすこう」もわりと好きなのだが、これも本来はラードを使ったお菓子とのこと。イギリスでは今でもパイやスコーンにラードを使うという話を聞いたことがあるので、本場のラード入りお菓子を食べてみたいと思う。
ショートニングはトランス脂肪酸が健康に影響する問題点もあるようだが、そういうことにこだわり過ぎると食の選択肢が狭まるので、大量に食べなければよしとしている。

つまらぬうんちくを披露してしまったが、この4~5年わたしがつくるお菓子はもっぱらカステラだ。カステラは油脂を一切使わない。これがいい。人間が究極的に求めるのは甘み、油脂、炭水化物らしいが、これを具現化しているのは「あんドーナツ」ではないか。わたしは「人類あんドーナツ最強説」を唱えているが、最強なだけに最強に太る。そこで、せめて油脂がないものをと、カステラをたまに焼く。

↑カステラの材料は、たまご、強力粉、上白糖、はちみつ、ざらめ。粉はお菓子なのに強力粉だ。カステラはふわふわというより、しなやかさがあるが、これを出すには強力粉なのだろうと思う。ざらめはお楽しみのカステラの底のジャリジャリ。欲張って入れすぎるとジャリジャリしすぎておいしくない。安物の粉はまずいのでちょっといい粉を選ぶ。

↑道具はでっかいボウル、ハンドミキサー、粉ふるい。寒いときは湯煎にかけるためのさらにでっかいボウルが必要(わたしは浅い鍋を使っている)。

↑焼き型はなんと新聞紙。ネットにレシピとともに新聞紙型のつくり方も載っている。そうたびたびつくるわけではないので、何回つくってもすっかり忘れてしまい、つくるときは説明図を見ないとつくれない。しかも、幾何学的センスがないとつくり方に迷う。わたしにとってのカステラづくりの最難関はマジでこの作業。さらに新聞はデジタル版で読んでいるのて゛新聞紙がないので知り合いからもらっているという面倒くささ(なんとかできんか?)。


↑新聞紙の型にはアルミホイルを敷き、その上にクッキングペーパーを敷く。側面にクッキングペーパーをつけるのはむずかしいので、底だけにしている。

↑底には、重要なポイントのざらめ。

↑つくり方は簡単。たまごと砂糖を泡立てて、粉、はちみつを入れるだけ。

↑たまごと砂糖は、文字が書けるくらいに泡立てるという説明がよくあるが、こんな感じ。粉とはちみつを入れてからはこねくり回しすぎは禁物だが、しっかり混ぜないとダメ。

↑型に入れるときは、ざるでこす。想像よりもするするとざるの目を通っていくが、ざるの裏側にくっついた生地はもったいないので、ゴムべらでしっかりこそげ取る。これが面倒なのと、生地をムダにしたくない思いが強すぎるので気を張ってくたびれる作業。

↑型に生地を入れたら、30cmくらいの高さから2~3回落として空気を抜くのだが、なにしろ新聞紙の型なのでやり過ぎると型崩れするのでほどほどに。

↑オーブンはガスオーブンのほうがいいのだろうが、持っていないので電子レンジも兼ねた電気オーブンを使っている。料理の先生も電気オーブンでケーキを焼いていたので電気で十分だ。約1時間焼く。オーブンのガラス面に自分が映っているのが情けない(トホホ)。さらに、10年以上前のNationalブランドのオーブンもなんとなくお恥ずかしい。

↑焼き上がったら、ラップの上にクッキングペーパーを敷いてスタンバイ。

↑クッキングペーパーの上にひっくり返して、新聞紙の型、アルミホイルをはぎ取る。底のざらめのついたクッキングペーパーはお楽しみなのではがさない。

↑熱いままラップぐるぐる巻きで密封して1日以上置いてしっとりさせる。これは、カステラ以外のカップケーキなどにも使われる手法。料理の撮影の際に料理の先生に教えてもらったことなのでガセではない。水蒸気を閉じ込めてしまうとしっとりするそうだ。ケーキ自身が持っている水分なので腐らないとのこと。

↑ネット情報では3日くらいラップぐるぐる巻きにしてしっとりさせるという説もあり、試してみたけれど違いがわからなかったので、わたしは丸1日くらいで食べる。

↑残念なのは、売っているカステラのような「高さ」がないところ。

味の特徴は、たまごと砂糖と粉だけの混ぜ物のないシンプルなところだ。はちみつを入れてはいるが、焼いているので風味は飛んでしまっている。多少しっとりさせる効果があるのだと思う。売っているものは、はちみつだけでなく水飴も入っているし、それ以外にも「しっとり、ねっとり」させる材料が入っていると思う。畏れ多くも福砂屋あたりのカステラと比べると食感も味もあっさりしているが、一般的なレシピでつくるスポンジケーキよりは、かなり売り物のカステラに近い。ざらめのジャリジャリがまた本格的なカステラ気分させてくれる。あっさりしているだけにいくらでも食べられるのが難点といえば難点。料理も薄味はいくらでも食べられてしまう。

手づくりカステラが気に入っているのは「これだけの手間でこんな味に仕上がる」と納得できるバランスだから。コストパフォーマンスもいい。
ただ、まったくの初心者にはちょっとむずかしいかも。簡単なパウンドケーキやスポンジケーキをつくったことがあれば、たまごと砂糖の泡立て方とか、粉の混ぜ加減といった勘どころは同じなので、悩まずにすんなりつくれると思う。
これはわたしのように、つぎはぎの知識で料理やお菓子つくりをする人に対するメッセージなので、料理についてご自身のセオリーが確立している人は「フッ」と鼻で笑って読み過ごしていただきたい。