八百屋で買った奈良のあけび

何度も何度も書いているが、自宅近くには古くからの商店街があるので、肉は肉屋、魚は魚屋、野菜は八百屋で買っている。お気に入りの乾物屋は、店主高齢化と跡継ぎ不在(単なるわたしの想像)のため、豆腐屋はおばさんが亡くなって(これは事実)閉店したが、わたしのごひいきの肉屋、魚屋、八百屋はがんばってくれている(エラそうな物言いで恐縮だが)ので、よい食材に恵まれている。

そもそも八百屋はわたしより若い30代後半くらいのにいちゃんが店主なので、わたしが買い物に行ける間は店主高齢化の心配はない。
そうそう、買い物に行って店の人から声をかけられる際、そこそこの年齢の女の人の場合は「奥さん」と呼ばれることが多いと思うが、わたしが行く店ではどこでも「ねえさん(またはおねえさん)」と呼ばれる。もちろんわたしだけでなく、女の人はすべて「ねえさん」と呼んでいるようだ。オッサンに対してはどのように呼んでいるのかはわからない。

「ねえさん=おばさん」だということは百も承知している。店で「おばちゃん」と声をかけられても、しっかりおばちゃんなので腹なんか立たないが、「ねえさん」と呼ばれるほうが無難だし、悪い気はしない。
肉屋、魚屋、八百屋には妙齢のおねえちゃん(若い女性)は買い物に来ないと思うが、店の人たちは若い客に対しては「ねえちゃん」と呼ぶのだと思う。かつてのわたし(若き日のわたし)が、店のオッサンからそのように呼ばれていたからだ。
店の人がわたしより明らかに年上の場合は、現在のわたしに対しても「ねえちゃん」と声をかけてくれる。これも悪い気はしない。

さて、八百屋のにいちゃんだが、近くの市場とは別に、毎週2回奈良の市場まで仕入れに行くそうだ。奈良へは車で1時間くらいはかかるので、けっこうたいへんだと思う。八百屋のにいちゃんは奈良の市場がとても気に入っているようで、スーパーには並ばないような野菜を仕入れてくる。
晩秋から冬にかけては「烏播(ウーハン)」という種類の里イモが、にいちゃん自慢の奈良野菜だ。わたしはかつおと昆布のだし、うす口しょうゆ、みりん、砂糖で関西風に煮っころがすだけなのだが、しっかり冷まして味を含ませる里イモの鉄則を必ず守る。イモの内部というのか、組成が緻密でねっとりした感じがたまらなくおいしい。
飽きないので毎週のように烏播(ウーハン)を買うと「ねえさん、好きですなあ」とうれしそうに言う。烏播(ウーハン)をつくっている農家は少なく、大量に仕入れられないので、品切れだと心から申し訳なさそうというか、とっても悔しそうに「売り切れてしまったんですわ」と言う。


↑烏播(ウーハン)は晩生種なので、10月はふつうの里イモが並ぶが、にいちゃんによると「烏播(ウーハン)のそっくりさん」とのことだ。ラベルはにいちゃん作(と思う)。


にいちゃんは遊びゴコロもあって、ちょっとかわったものも仕入れてくる。先日はざくろとあけびがあったのであけびを買ってきた。
ざくろは去年買ったので、食べたことのないあけびにしたのだ。にいちゃんに食べ方を訊くと、「中のワタを食べるんですわ。おいしいものではないですけど」とのこと。「八百屋のおにいちゃんにススメられたから買おうかなあ」というと、「ボクはススメていませんから」と(たしかに食べ方を教えてくれただけで、ススメてはいない)と苦笑いしていた。


↑コッペパンみたいだが、ちょっとキモイ。


↑パカッと開けると、もっとキモイ。


↑ワタはゼリー状でほんのりとした甘みでマズくはないけど、タネが多くて口の中がタネで飽和状態になる。


↑皮も食べられるそうだが、にいちゃんによると「皮を食べたお客さんはアクが強くてたいへんだったと言っていた」とのことだ。

にいちゃんは野菜のプロだが、料理にはあまり興味がないようなので、皮をどのように料理するのかは訊きもしなかったし、皮料理にはチャレンジする気もなかった。
あけびは、味はともかく話のタネにはなったので満足した。