菊イモ

たまに変わったモノを店に並べる八百屋のにいちゃんだが、先日は「菊イモ」があった。
名前は知ってはいたが、食べたことはなかった。「健康にいい、どんな調理法でもおいしい」みたいなことが書いてあるお仕着せの菊イモラベルが貼ってあり、手に取ってみた。
わたしの里イモ好きを知っている兄ちゃんは「里イモに比べたらあっさりしているみたいです」(→それって粘りがないってこと?)「味というより、健康にいいイモってことで売ってます」(→それっておいしくないってこと?)という、妙なすすめ方をしてくる。
あけびのとき、わたしが「すすめられたら買ってみたくなるよね~」みたいなことを言ったら「いや、ボクはすすめてませんけど(へへへ……)」みたいなことを言っていたが、それと同じような雰囲気を放っている
要は里イモのように味に絶大なる自信がないということだ。味に自信のあるとき、にいちゃんはグイグイくるからだ。しかも、菊イモは食べたことすらないということも白状した。
にいちゃんのすすめ方はなんだかおかしかったが、特別高価なものでもないし、買ってみることにした。

お仕着せラベルは捨ててしまったのだが、たしか「サラダも、炒め物も、煮物も」みたいなことが書いてあったと思う。とりあえず検索してみたところ、なんとなく「きんぴら」がよさそうに思えたので、きんぴらにすることにした。
皮をむき、まずは生で食べてみた(サラダも、とラベルにあったし)。アクもなく、シャリシャリとした果物の梨のような食感でほんのりとした甘みもあった。が、サラダにして食べたいと思うような味ではなかった。薄く切るとオバケのようなカタチ。↓

きんぴらにするために切っている間に、煮物にもしてみたいと思い立ち、5個ほど煮てみることにした。煮るには少なすぎる量だったが、我が家最小の小鍋で焦げ付かせないように集中してむりやり煮た。

結果は、きんぴらが一番おすすめ。水分が多いので、炒めるとすぐにくたっとするので、火の通しすぎに気をつけなければならないが、くたっとしても歯ごたえは残っている。デンプン質が少ないのか、鉄のフライパンでもくっつかないのがありがたかった。説明がむずかしいが、食感はジャガイモのきんぴらに似た感じ。香りはゴボウ似。↓

里イモの煮っ転がしと同じように煮た。食繊維が多いのが感じられ、水分の多いサツマイモというか、カボチャのような食感。にいちゃんが言うように味がうすいというか、風味は弱い。↓

まとめると、まあまあ。にいちゃん自慢の里イモ、烏播(ウーハン)のように強烈な個性がなく、あっさりしているので、他のおかずのジャマをしない名脇役といったところか。
実はわたしは、里イモ以外のイモはあまり好きではない。味ではなく喉に詰まるもくもくとした感じが苦手なのだ。カボチャも日本の黒い皮の水分が多いカボチャは食べるが、ニュージーランド産なんかの水分が少ないカボチャは食べない。その点、菊イモは水分が多いので、わたしのようなイモ嫌い派にも受け入れられるのでは、と思う。

菊イモを食べる前に八百屋に行くと、にいちゃんは「(菊イモは)どうでしたか?」と訊いてきた。「ボク、食べてないんで、お客さんに訊くしかなくて」なんて言っている。わたしは「今日、食べようと思って。感想言うね」と言って帰った。
翌日は八百屋で買うものもなかったので、いかにもこれから仕事に出かけますという格好で八百屋に寄り(実際そうだったのだが)、ここに書いたようなことをかいつまんで書いたメモだけを渡した。
にいちゃんは、メモを両手に挟んで拝むような仕草をしてありがたがってくれた。メモを渡してからは買い物に行ってないので週末に八百屋に行ったらメモの感想を訊いてみようと思う。12月に入るとにいちゃん自慢の里イモ、烏播(ウーハン)の旬だ。