押し豆腐をつくってみた

いきなり完成形だけど、こんなの↓。手前の右側は包丁で切った断面。

長年にわたって中華食材の「豆腐干(とうふかん)」を探しているのだが、近くに中華食材専門店がなく、ネットではあまりに大量で、手に入れることができなかった。
豆腐干と押し豆腐は違うものだと思うが(わたしも詳しくはよくわからない)、どちらも豆腐から水分を抜いたものだ。だが、高野豆腐のようなものとは違う。
中華料理の本をパラパラと見ていたら「押し豆腐の○○和え」みたいなのがあったのだが、その本には「○○和え」のレシピしか書いておらず、「押し豆腐の作り方は簡単。お湯に塩を入れて豆腐をゆで、あとは押すだけ~」みたいにしか書かれていなかった。そのレシピでは押し豆腐は市販のものを買うことが前提だったのかもしれないが、日本じゃ一般的には売っていませんて、陳先生。
でも、ピンときた。コレだ。検索するとすぐに見つかったが、ポピュラーではないみたいでたくさんはなかった。
わたしはこのレシピ(下の方にある「3.押し豆腐」)を参考にした。
このレシピを紹介している小川聖子先生は、以前仕事を一緒にさせてもらっていたことがあり、信頼しているからだ。

ポイントは「崩してゆでた豆腐を熱いうちにさらしに包んで四角に成形して重しを乗せて固める」ことなのだが、わたしはつくっている最中はそのポイントを理解しておらず、崩し方も足りなくて、ゆであがってからかたまりを崩したりとグズグズしながら成形しているうちに冷めてしまった。「これでは固まらんだろうな……」と思いながらも6リットルの鍋いっぱいに水を入れて重しにしたのだが、案の定固まらなかった。
ここでようやく「熱いうちだ!」とポイントが理解できて、さらしに包んだまま電子レンジで熱々に加熱してから再び重しを乗せたところ、大正解! これで、崩れた豆腐が固まったのである。
時間はかかるが、寝る前につくっておけば、寝ている間に固まっている。休日前につくって、休日のお楽しみにするのにピッタリだ。

押し豆腐を使ったレシピはいろいろあるようだが、わたしがめざしたのは水餃子専門店の突き出しの豆腐干(店名は書かないが、ご存じの人もいらっしゃるかも?)。平たい麺のような状態で、ごま油で味がつけてある。はじめて食べたのは20年近くも前になる。水餃子専門店だけでなく、中華料理屋のメニューに「豆腐干」とあれば、ズバリの「豆腐干」でなく「干し豆腐の○○」でも注文してみたが、この突き出しを超える味はなかった。

↓千切りの要領でまず薄切りにして端から細く切るのだが、あまり細いとボロボロになるし、ましてや平たい麺のようにはならず、せいぜいちょっと細長いマッチ棒。

↓できあがり

味のポイントは昭和の調味料?

味つけは塩とごま油なのだが、ポイントは、がっかりさせてしまうようなのだが「うまみ調味料」を入れること。それも、とりがらスープの素とか、中華調味料のような複雑な味のものでなくて、ズバリ「味の素」だ(ハイミーでもいい)。
最近は風味調味料が全盛だが、昭和は「味の素」の時代(いの一番もあった)だったことが思い出される。
実は、水餃子の店のメニューに「豚肉とネギ炒め」というのがあり、文字通り材料は豚肉とネギだけで、見た目は油まみれなのだが実においしい。これも再現を試みたのだがなかなかうまくいかなかった。いや、原因はわかっていたのだがなぜか禁断の領域と思って手を出さずにいたというか、ウチの調味料棚に置きたくない思っていたが、意を決して買ってきて入れてみたのだ「味の素」を(わたしは、味の素より強力なハイミーを使っている)。そしたら近い味になった。だが、もちろん店のようにはいかない。あくまで「もどき」だ。

で、今回の押し豆腐でも、うまみ調味料ならではの味というのがわかった。
わたしは食べることには実にマメで、こんぶとかつお節でダシをとるのはもちろんだが、鶏ガラを買ってきて(これももちろん、スーパーではなく鶏肉屋)4~5時間煮出してスープをとり、常に冷凍保存してある。鶏ガラスープを使った「中華がゆ」を味わうためだ。
がしかしだ。中華料理やプロの味にはうまみ調味料があってこその味があることが理解できるようになった。なので、「豚肉とネギ炒め」の試作に励んだことをきっかけに「味の素」と「ハイミー」を常備している。

水餃子の店では突き出しの豆腐干のごま油和えをおかわりしたいな~と思っていたが、自分でつくるとそれほどたくさん食べられるものでもない。豆腐の水分がほぼ抜けきっているので濃厚なのと、濃厚がゆえに味も濃いめにつけないとボケた味になる。つまり、豆腐の味とごま油の味、塩味が濃いめなのでそんなにたくさんは食べられないということだ。

自分でつくってみてわかるのは、やはりプロの技術はスゴイということ。
自分でつくるのは、つくること自体を楽しんでいるだけで、けっして「自分でつくった方がウマイ」なんてことは思っていない。
ちなみにを鶏ガラスープとる際「モミジ」と呼ばれる鶏の足も使ったことがあるのだが、見た目がナンなので(お湯に浸かっていると、佐清(すけきよ)みたいでちょっとコワイのだ)、鶏の本体だけを使っている。それでも頸の部分などは元の姿がじんわり浮かんでくるが、深く考えないようにして、スープを煮出しているときのおいしい香りを楽しむことに徹している。