切干大根、割干大根、これはたぶん割干大根?

↑これは割干大根?

「切干大根」は別名「千切大根」ともいうくらいなので、千切りにした大根を干したもの。「割干大根」は、大根の頭の部分はつながったまま、タコの足のように大根を割って、稲を稲架(はさ)にかけるように干してつくるものだと思っていた。
実際、わたしがこれまで買っていた割干大根は、袋から出して広げると干しタコのようなカタチをしていた。
切干大根はふつうのスーパーで1袋100円くらいで買えるが、割干大根はふつうのスーパーにはなくて、お高めのところとか、自然食品にこだわったような店にある。1袋400円くらいが相場だ(にゃんと!調べ)。

この冬、いつも行く八百屋の兄ちゃんの自慢の商品の一つとして「大根の干したの」があった。兄ちゃんの自慢は「大根を育て、切り、干す」作業をした人がすべて同じだということ。「そこから(大根を育てるところから)やってます」ということだった。
商品名は書いていないが、太さで判断すれば「割干大根」なんだろう。でも、頭がつながっていないので、タコ状ではない。頭の部分は青くなっているので、生の頃(という表現でよいのか?)は青首大根だったことがわかる。出自というか、素性を明らかにしてくれていて安心できる。

↑1本ずつの姿はこんなの。比較のためにティシューの箱を置いてみたが、どうでしょう?
↑戻す前。
↑戻したあとその1。太いので切干大根より時間がかかる。1時間くらい戻すとふっくら。流行りの時短料理には不向き。
↑ 戻したあとその2。長さは戻す前とあまり変わらないような?
↑3cmくらいに切って油揚げと炊く。関西なので「炊く」といい、淡口しょう油と砂糖とみりんで、塩分薄めに仕上げる。

味は切干大根より濃厚。濃厚なので、切干大根のように、にんじん、ちくわ、鶏肉などを入れるのは合わないと思う。油揚げだけでじゅうぶん。もしかしたら油揚げも要らなかったかも?
ついでに、もしかしたらだしも不要だったかも?。濃口しょう油、砂糖、みりんでこってりとした味に仕上げると素朴な感じでよかったかもとも思うが、だしを使わずに煮物をつくるのは意外に勇気が必要だ。
おいしくなかったら炊き直さないといけないけれど、濃い味を薄くするのはむずかしいからだ。

ただ、だしを使わないおいしさもある。10年以上前だが仕事で栃木県に行った際、地元の普通の主婦がつくったかんぴょうの煮物をごちそうになった。わたしのお気に入りだった乾物屋でも手に入らない超肉厚のかんぴょうが、濃口しょう油と砂糖だけでこってりと煮てあった。

肉厚の見た目とかんぴょうそのものの味の濃さは、わたしのなかのかんぴょうの常識をくつがえした。5枚重ねくらいで盛り付けられていたそのさまは、とてもヘンなたとえではあるが、昔ながらのふとん屋さんの店の奥に鎮座していたふっかふかで天井につきそうな婚礼ふとんのようだった(昭和の遺物)。

「さすが特産地」と、見て、食べてとからだで納得したせいか、忘れられない食体験となり、乾物を戻すといつも栃木のかんぴょうを思い出す。肉厚のかんぴょうはネットで手に入れることもできるだろうが、わたしにあの味を再現することはできないと思う。
いや、再現しなくていいのだ。またいつか、栃木で味わいたい。一生忘れないでいよう。

ちなみに奈良県産の干した大根の値段は、たしか300円か350円。忘れてしまったけど、400円以下であったのは確か。「安いな」と思ったからだ。