手づくり食品のプレゼントは迷惑なのか

↑4月下旬から出回る小粒のいちご。酸味が強いのでジャムに向く。
↑ジャムにしてビンに詰めると人にあげたくなってしまうのだが、迷惑なのだろうか?

かたく、重苦しいタイトルになってしまった。 最近は過度な清潔志向からか、「来客にはペットボトルのお茶を出すのがマナー」という人々もいるらしいと聞く(正しくは聞いたのではなく、ネット上で見かけた)。
「他人が出すお茶はペットボトルしか受け付けない」というのは極端な気がするが、他人(料理のプロではなく素人)が握ったおにぎりは食べられないという気持ちはわかる。過度な清潔志向もあるが、逆、つまり不潔な家や人がいるのも事実。わたしは人間はバイ菌ごときで簡単に死なないとは思ってはいるが、不潔な人がつくったものはイヤだ。

わたし自身は料理上手な人がつくったモノはありがたくいただくが、そうでない人がつくったモノは警戒してしまう。料理上手な人は、衛生意識が高いはずだと思っているから。
ただ、おにぎりに関しては不潔恐怖症というのではなく、「自称料理上手」みたいな人がつくった、何が入っているかわからないおにぎりに対して警戒してしまう。シーチキンマヨネーズ、チーズといった、昔からのおにぎりの具からかけ離れているものがイヤなのだ。なんというか、おにぎりの具はサケ、昆布、梅干しといった定番の具が入っていてこそ安心して手が伸ばせるのであって、「これ、おいしいから食べてみて~」と、ワケのわからない新作おにぎりをすすめられるのはたまったもんではない。
好みを知らない人にふるまう際は、定番のものにするべきと思う。シーチキンマヨネーズはもはや定番といわれるかもしれないが、わたしはイヤ。ご飯にマヨネーズは気持ち悪いという保守的かつ古い価値観の人間である。
単純にご飯にマヨネーズはどうしても受け入れられないのだ。 許してほしい。

わたしはジャムづくりが好きだ。以前、料理の仕事を一緒にしていた先生が、料理撮影のたびに手づくりのジャムをプレゼントしてくれたことがきっかけとなり、その先生が書かれたジャムの本を見て、いちごだけでなく、マーマレード、もも、ぶどう、すももなどでもつくっていた。ぶどうのジャムは高くついたが、かなりおいしかった。
以前は道の駅みたいなところの農産物直販所みたいなところで、「カタチは悪いがお値段お安め」みたいな果物を買ってつくっていたが、最近は、小粒のいちごを見かけたときにつくる程度に落ち着いた。

手づくりジャムは、わたし自身が料理の先生から撮影のたびにおみやげとしてもらったことがとてもうれしかったので、親しい人にプレゼントしてきたのだが、「ペットボトル茶論争」を目にすることが多くなり、迷惑だったのかなあと今さらだが後悔のような気持ちがわき上がってきた。
ジャムは果物と砂糖だけが材料だから、「何が入っているんだろう」と警戒心を持たれることはなかったとは思うし、おいしい果物が手に入ったときに限定していたし、誰かれかまわず配っていたわけではないのだが、ひそかに潔癖症に苦しんでいた人にはツラかったのかも。
だからといって「手づくりのモノは今後いっさいやりとりしないわ!」と心を閉ざしてしまうのもつまらない。今もわたしの手づくりのジャムを喜んでもらってくれる人もいて、一気に1ビン食べてしまうという。やめようと思ってもやめられないそうで、わたしも意識してたくさん食べないようにしているので気持ちはわかる。
食べ物のやりとりは、食の好みや価値観が合う人とやりとりすることはまったく問題ない。意地悪い書き方になるが、果物と砂糖だけでつくったジャムの価値がわからない人、味のわからない人にはプレゼントしないのが精神衛生上いちばんよいのだな、と思う。

味覚音痴の人は自覚がないし、走るのが速いとか遅いとかみたいに他人と比較しようがないので一生気づかないのだと思う。「自称料理上手」はこのタイプが多い。味覚音痴かどうかは食に関する会話をすればすぐにわかるのだが、追及すると関係が悪くなるので黙っているしかない。だが、わたしの趣味ともいえる食べ物の話を共有できないのはさびしいものがある。
だが、それは逆もいえることでわたしも他人には「にゃんと!は食べ物のことしか興味がない」とイヤがられているかもしれない。そこはお互い様というか、人と人との間にある、けっして交わることのない境界線のようなものなのだろうと思う。
また「手づくりのモノや、野菜や果物のような生もの(それがたとえ、有名な名産品であっても)をもらうのは迷惑。捨てる」というポリシーの人に遭遇したこともある。わたし自身に対しての発言ではなかったが「枝つきの枝豆をもらって迷惑だった。そんなもの食べないし、冷蔵庫の中が土で汚れる」と高らかに宣言するさまにはたいそうショックを受けた。わたしなら深々と頭を下げてありがたく頂戴し、冷蔵庫に入れる間もなく、すぐに枝からもいでゆでるからだ。そして写真を撮り「ビールと一緒に食べています。ウマイです!」と報告する。

たかがジャム一つで人間嫌いになるのもバカバカしい。小粒いちごのジャムで初夏の喜びを感じられる人との出会いはこれからもあるという希望を持っていたい。
今年は久しぶり(10年以上つくっていない)に土佐小夏(別名日向夏)でマーマレードをつくろうと思う。皮がやわらかく、苦みが少ないので大好きだ。

↑1回で2キロ(8パック)くらいつくる。1パックで200mlのジャム瓶1個分程度ができる。2キロだと水分が蒸発しづらいので、1キロ程度のほうがつくりやすいのだけど、一度にたくさんつくると「ジャム職人」気分が味わえるので多くつくってしまう。
↑ ヘタを取ってすぐに煮るのではなく、砂糖をまぶして一晩置き、いちごの水分をしっかり出す。
↑水分だけ煮詰めてから果肉を煮る。こういうモノ(煮詰めるモノ)は弱火でとろとろ煮るのではなく、強火でガーッと煮る。
↑果肉を入れると膨れ上がるが、ひるまず強火(吹きこぼれないようにと、コゲには注意)。
↑レモン汁を入れるレシピが多いが、その料理の先生のレシピはクエン酸。クエン酸はレモンの香りがジャマをしないし、キリッとした酸味で味が引き締まる。
↑ビンもフタも消毒。ジャム用に買ったもので、佃煮のビンを使い回してはいない。
↑今年のいちごジャム。すでに4個プレゼントして、1個は自分で食べた。プレゼントの注文も受けているし、半年くらいは保存できるので、あと1キロ分くらいつくろうかと思っている。